ミュオンがとらえる内部磁場分布とゆらぎ

◉電子状態のミクロな指針となりうるミュオン

 

一般に粒子がもつ角運動量に着目した場合、

その回転運動を支配するのは磁場と電場勾配であります。

 

角運動量の量子数が1以上の場合は、

電気四重極能率を持つことができ、「磁場、電場勾配のいずれとも作用」します。

 

しかしミュオンはスピン角運動量が1/2の粒子であるので、

「磁場とのみ作用」します。

したがって、物質中に止まったミュオンスピンが運動する原因が内部磁場であることは確かなことであるといえます。

 

ではその内部磁場とはどこに起源があるのでしょうか。

実際には原子核がもつ磁気双極子モーメントや電子が持つ磁気双極子モーメントが主な起源であります。

 

電子の場合は対象物質の物性が直接かかわってくるため、ミュオンの物質中での存在状態を考え、その物質の電子状態から予想されるミュオン位置での内部磁場分布やゆらぎに基づいて、ミュオンスピン偏極の時間変化を予測することができます。