一定ではないβ線のエネルギー

原子核中性子)のベータ崩壊によって出てくるβ線のエネルギーは様々。

 

中性子ベータ崩壊すると、①陽子

             ②電子

             ③反電子ニュートリノ

ができます。

 

しかし観測される粒子は、荷電粒子である陽子と電子のみであります。

観測通り陽子と電子のみしか生成されないとするならば、生成された電子のもつエネルギーは一定(反応前後の全質量差で決まる単一の運動エネルギー:Q値)となるはずですが、実際にはゼロからQ値まで連続して分布するのが観測されます。

 

ここでエネルギーの保存則を考えると陽子電子以外に何らかの粒子が発生していると予測され、それがのちに反電子ニュートリノであることが分かったのであります。

 

実は正ミュオンの崩壊過程もこれと同じような反応を示します。

ミュオンは6兄弟の真ん中の双子

◉電子(e)、ミュオン(μ)、タウオン(τ)は質量違いの兄弟


この世の物質は、核子と電子、ニュートリノみたく安定な粒子だけで構成されている。


わけではありません。


有限の寿命でのみ存在できる基本粒子がいくつも存在します。


ミュオンもワンオブイットであります。


ここでミュオンの基本スペックを紹介します。

【ミュオン】

→①電荷:正または負

    ②重さ:電子の206.7倍

    ③平均寿命:2.2μ秒


そう、実は電子とは質量と寿命のみが違う、いわば兄弟関係にあります。

ちなみに、ミュオンよりも16.8倍重いのがタウオンであります。


これら3つの粒子にはそれぞれ対応するニュートリノ(双子)がおり、全6種の兄弟であります。

これらは質量と寿命の違いを除き同じ性質を示します。


このミュオンの6人兄弟を「レプトン」と呼びます。

第3の粒子「ヒッグス粒子」

◉未知なる重い粒子=ヒッグス粒子

 

物質を構成する粒子:フェルミオン

力を媒介する粒子:ボゾン←質量0

 

「ヒッグス機構」

→粒子に質量をもたせるための機構。

 もともと質量をもたないとされるボゾンを、①大きな質量をもつ成分

                     ②質量をもたないままの成分

 に分けます。

 ⇔このことで、電弱相互作用が①弱い力

               ②電磁力

  に分かれることが説明できます。

 

このヒッグス機構が成り立つと仮定したときに予言されるのが、

ヒッグス粒子であります。

 

力を媒介するわけでなければ、物質を構成するわけでもない。

未知なる重い粒子」がヒッグス粒子なのです。

相互作用の主役は「粒子」

◉自然界のすべてを表す4つの力。

 その力の媒介するのは「粒子」であります。

⑴重力

⑵電磁力

強い力:核子を結び付けている力

弱い力:核子ベータ崩壊をひきおこす力

※標準理論では、重力以外の3つの力を整合的に説明しています。

 

⑵~⑷を媒介する粒子はボゾン(ボーズ粒子)であります。

⑵→フォトン(光子)

⑶→グルーオン

⑷→ウィークボソン

 

彼らがそれぞれのそれぞれの力を伝える役割を担っています。

 

ミュオンは「基本粒子」

ミュオンは、標準理論で「基本粒子」と呼ばれる素粒子の1つであります。

 

・標準理論とは、素粒子とその相互作用を統一的に説明した理論枠組みで、

 内容としては、①物質を構成する基本粒子

        ②それらの間に働く相互作用のモデル から構成されます。

 

・基本粒子は、一定の ①質量

           ②電荷

           ③スピン角運動量1/2 をもちます。

・基本粒子はすべてフェルミオンフェルミ統計に従う粒子)であります。

 

・よく知るもので、陽子(p+)、中性子(n)、電子(e-)も「基本粒子」に分類され

 ますが、今日ではさらにその陽子と中性子を構成する粒子であるクウォーク

 「基本粒子」である考えられています。